自律神経の緊張からくる頭痛

残暑が厳しいが続きます。そして、今週も週末は台風がやってくるとかで、気圧の変動も激しく、
自律神経も気温、気圧などなど環境についていこうと頑張って疲れています。
それによる心身の不調を起こされる方も増えているこの頃です。
そんな中、仕事に疲れて腰痛、頭痛を起こされた方が見えました。

この方は、30歳代女性。小説家志望で、昼間は普通にお仕事をされていて、夜は小説を書いておられます。
調子がよいとどんどん筆が進んで夢中で遅くまで書かれてあるようです。
そして就寝、すぐには床にはつかないとのことですが、おそらく脳は興奮したままでいてからだは疲れているので寝付くことはできるのかもしれませんが、
脳は興奮したままなので熟睡することができずに早く目が覚めたりして気持ちよく起床できていないようです。

この日も、何となく頭が重いまま見えました。
いつもの治療で、背部、脊柱の様子と足首を診ました。すると、脊柱(背骨)を押すと特に上部胸椎に痛みがあります。
この痛みは、いわゆる交感神経緊張の痛みと思われます。

そしていつもの肝兪(かんゆ)脾兪(ひゆ)腎兪(じんゆ)三焦兪(さんしょうゆ)天宗(てんそう)環跳(カンチョウ)に鍼を刺してしばらく置鍼。
そうしながら、何となく重たい頭に鍼をしました。

ツボは、脳空(ノウクウ)です。ここには、鍼管を使わずに、念鍼つまり直接静かに鍼先を皮膚にあて鍼が進むだけ静かに刺入します。
すると気持ちの良い響きがあり、頭がスーッとしたと言われました。
この部位は、頭部なので頭皮、薄い筋肉そして頭蓋骨を覆っている膜なので深くは入りませんが気持ちよさは強くあるようです。
普通でも、美容室や、床屋さんでも頭を触ってもらい頭を洗ってもらうだけでも気持ちがよいものですよね。

交感神経の緊張が取れていくのだと思います。
その後、背部に刺していた鍼を抜き、最初に押して痛かった上部胸椎は痛みがとれて
押してもらくにむしろ気持ちがよくなっていました。

この症例、脳空だけで自律神経の緊張がとれたということではないでしょうが、
頭の鍼は自律神経の緊張をとるには有効であると痛切に感じた症例でした。
もちろん、背部兪穴と、足首の鍼が土台にあったからより効果があったものと思われます。
太極治療に基づいた施術法です。

ここで簡単に脳空のツボについて説明させていただきます。
鍼灸経穴事典によると、穴名の由来は、空にはアナとか陥凹の意味がある。
場所は、後頭部中央のとんがりの(大後頭隆起)の外側のくぼみ。主治は、頭痛、項部のこわばり、めまい、動悸、鼻疾患。ということです。

これはほんの一例で、この季節年齢に関係なく体調を崩される方が増えます。
季節の変わり目ということもあり、こんな時は自律神経が一生懸命がんばっているものと思われます。
鍼灸は、この自律神経の調整にはとても得意です。
ぜひ、健やかな生活のためにも、コロナに感染しないためにもお勧めの健康法であると思います。
自然免疫を獲得するためにも。