春は、肝の季節です。それには脾と腎も大切です。

早くも3月。冬から春へという季節。いわゆる季節の変わり目です。この時期のイライラは、春が来た合図とも考えられます。

季節は春へと変わり内にこもり悶々としていた感情が外へ発散されやすい月です。
気持ちばかりが先ばしって物事がうまく運ばないことが多いものです。
のびのびと気持ちよくしたいものです。

暖かい日も多くなってきますが雨の日も多くあります。
一雨ごとに暖かい春になっていく時季です。

しかし本当の春はまだ足踏みしています。からだは解毒と代謝をする季節に移り変わる季節となります。
この解毒と代謝をしてくれるのが東洋医学で言う「肝」です。
これは文字通り肝臓のことですが現在の医学でも同じ働きをします。

春は生物が顔を出し、植物も芽を出し始めるなどせいめいエネルギーが急に活発に働き出します。
それは人間も同じで肝臓が活発に動き始め負担がかかります。
負担がかかることで肝の特徴としての怒りが出やすくなります。
春はこのように肝が重要な働きをする季節だというわけです。

ここで、簡単に東洋医学の「肝」の意味を考えてみます。肝は、「木火土金水」人間は、
台地にしっかり根を張、健やかに天空に枝をのびやかに張り出す1本の木であると考えます。

こののびやかな気はやる気、生きる意思でもあります。
前身の気と血の流れを調整し生きる意志を持たせるのが肝気の力です。
どっしりとした肥沃な台の地根ざすことで充分にのびやかになり、しっかりと天空に手を広げることができます。
土台となるのが脾と腎です。つまり、脾腎の力が弱ると肝の働きも鈍り悲鳴を上げイライラとなるわけです。
つまり、肝をしっかり働かせるには、脾と腎がしっかりしていないと健やかに働かないというわけです。

そこで、太極治療はそこを治療するものです。肝と脾と腎、それに三焦、そこが基本穴、必須穴というものです。
肝と脾と腎の疎通がよくなれば全身がうまく流れるというわけです。特にこの時期は「肝」が大事になります。

具体的には、注目し施術するところとして、脊柱(背骨)の両側にある肝 脾 腎の兪穴に気持ちの良い鍼を施します。
背中の緊張が取れれば自律神経もバランスよく働き、内臓の活動も整うものです。
そして、足首、特に内側、経絡の陰経が通っています。
肝脾腎が通り交差しているツボもあります。肝に栄養を送るためにも、腎経のツボを用います。
大渓(たいけい)をとります。アキレス腱内側の所見に鍼を施します。
すべての症状にこれらの肝脾腎、三焦の兪穴とアキレス腱内側のツボに鍼をします。
これが太極ということです。

このように冬から春の季節の変わり目は、「肝」がはたらく季節。
しかしそれをうまく働かせるためには「脾」と「腎」がしっかりしていなければならないわけです。

肝と脾と腎のいずれも大切であり必須でありどれが欠けても都合よくいきにくいものです。